事故物件の清掃方法は? 特殊清掃の内容や依頼方法について解説
3.事故物件の清掃方法
では、事故物件の清掃は誰が行えばよいのでしょうか。また、専門業者・プロならではの利点、依頼の流れ、料金などについても説明します。業者へ依頼をする前に、ぜひチェックしてください。
3-1.誰が行うのか
貸し主・不動産業者・専門業者とさまざまですが、賃貸物件の借り主が亡くなった場合、原状回復義務の責任があるのは「借り主の親族」です。遺族の方は、家主・管理会社・不動産業者から原状回復義務の責任を迫られることになります。
ただし近年は、家族がいない独身者の孤独死が増えており問題になっているのです。親族がいない場合は、貸し主または不動産業者が責任を持って原状回復をしなければなりません。そのまま放置するわけにもいかないので、できるだけ早めに専門業者へ依頼します。
このように、原状回復の義務は、遺族・管理会社・不動産業者になりますが、実際に特殊清掃を行うのは専門業者です。
3-2.専門業者・プロならではの利点
個人で落とすことができない頑固な汚れを落とすのがプロです。特殊清掃の場合は、血液・体液・死臭など特殊な汚れが対象となるため、きちんと正しい方法で清掃しなければなりません。殺人・自殺とあらゆる状況における清掃方法・コツをつかんでいるプロが行うため、より的確な方法でキレイにすることができます。
また、室内の状況を素早く把握して効率的に清掃するので、時間と手間がかかりません。早めに原状回復をしたい貸し主にとっては、大きなメリットになるでしょう。部屋の空き期間が長くなるほど、その間の家賃収入も見込めなくなるため、早めに原状回復をして入居者を募集できる状態にすることが大切です。
3-3.特殊清掃の内容
特殊清掃の具体的な内容は、業者によって異なりますが、5つの項目に分けることができます。それは、以下のとおりです。
- 害虫駆除:遺体で細菌が繁殖し、発生した害虫を駆除する
- 死臭元の撤去:死臭元を撤去する
- 腐敗体液の除去:フローリング・床に染みついた体液を除去する
- 特殊な消臭剤・消毒剤の使用:特殊清掃専用の消臭剤・消毒剤を死臭元やその周辺に使う
- 細かな清掃:最後の仕上げとして、ハタキ・掃除機で部屋をキレイに清掃する
ほかにも、亡くなった方にお線香をあげるという大切な作業があります。ただ、単に作業をするだけでなく、亡くなった方への気持ちも大切にするのが特殊清掃なのです。
3-4.依頼の流れ
まずは、専門業者に電話またはホームページから無料見積もりの申し込みをしてください。申し込み後、担当スタッフから連絡がきて現場確認の日時を決めます。実際に、作業を行う部屋を確認してから希望・予算など具体的な内容を伝えると、業者からプランが提示されるでしょう。プランに納得したら、どのような手順でどのような作業を行うのか打ち合わせを行います。そして、予約した作業日時に業者がやってきて特殊清掃が始まる流れです。
作業完了後は、部屋の最終確認をしてから料金を支払うことになります。具体的な流れは業者・部屋の状況・プランなどで異なるため、事前の打ち合わせでしっかり確認しておきましょう。
3-5.料金について
特殊清掃の料金相場は、約55,000~500,000円と幅広い傾向があります。なぜなら、どこからどこまで清掃するのか、作業内容・部屋の広さ・不用品の量などによって変わるからです。特殊清掃料金の内訳は、以下のとおりとなります。
- 腐敗体液・汚物撤去:20,000~250,000円
- 害虫駆除:15,000~100,000円
- 消臭消毒:20,000~150,000円
以上の料金は、あくまで目安となります。具体的な費用を知りたいときは、業者に無料見積もりを依頼してください。
3-6.業者選びのポイント
どの業者に依頼すべきか悩むときは、以下のポイントに注目するとよいでしょう。
- 丁寧でスピーディーな対応か
- 特殊清掃の実績があるか
- 無料見積もり・無料相談を行っているか
- 依頼者の話に耳を傾けてくれるか
- 部屋の状態を見極めて、適したプランを提示してくれるか
- 清掃サービス内容が充実しているか
- 見積もり内容が細かく記載されているか
4.事故物件に関してよくある質問
事故物件に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
Q.事故物件に種類はあるのか?
A.殺人・火災などによる死亡事故のほとんどは、心理的瑕疵(しんりてきかし)物件にあたります。しかし、そのほかにも、物理的瑕疵物件と呼ばれる事故物件があるのです。物理的瑕疵物件とは、建物自体の欠陥(けっかん)・立地条件のことを指しています。たとえば、シロアリ被害・雨漏りのある住宅が代表的です。物理的な瑕疵があるのも事故物件に含まれることを、頭の片隅にでも置いておきましょう。
Q.告知義務の範囲が知りたい
A.事故の事実を伝える範囲は、不動産業者で異なります。たとえば、マンションなどの集合住宅の場合は、事故物件の上下左右の部屋で告知をしなければならないケースが多いようです。また、室内だけでなく、マンションの階段・廊下・エントランスなど共有部分で過去に事件・事故があった場合にも、告知義務が発生します。
ただし、告知年数に関しては、説明義務に明確な期間がありません。事件・事故が起きたとき、次の人が入居するのであれば、きちんと告知する必要があります。しかし、その人の次に入居する人からは告知が必要ないと考えるケースが多いのです。
Q.特殊清掃だけで死臭消臭はできないのか?
A.完全に死臭を消臭して、家族・遺族が居住を続けたい場合は、特殊清掃に加えて遺品整理を行ったほうがよいでしょう。なぜなら、室内にある不用品にもにおいが染みついているからです。結局、室内の清掃を行ったとしても、不用品を片づけなければにおいを完全に取りのぞくことはできません。そのため、特殊清掃+遺品整理の料金が必要となります。
Q.原状回復を業者に頼む際に重要なこととは?
A.通常のハウスクリーニングと異なる原状回復の場合、作業料金・見積額をきちんと確認してください。ハウスクリーニングとまったく違う方法で清掃を行うため、費用が大幅に高くなる可能性があります。また、見積書の内容だけでなく、見積もり後に作業へ取りかかる速さにも注目です。優良業者は、的確かつスピーディーに作業を行います。見積もり後の作業が遅い業者は、信用できません。
Q.よくある業者とのトラブルとは?
A.「見積もり内容とは異なる料金を請求された」「きちんと清掃されていなかった」など、業者との間でトラブルが多発しています。トラブルにならないためにも、業者選びのポイントをしっかりつかんで、複数の業者を比較してください。比較すると、優良業者と悪徳業者を見極めることができるでしょう。
まとめ
事故物件は、殺人事件・火災による死亡事故などの事実が過去にあった物件のことを指しています。「いわくつき」の物件となるため、なかなか借り主を見つけることができません。しかし、事故・事件当時のまま放置するわけにもいかないので、できるだけ早めに原状回復を行う必要があります。事故物件の場合は、血液・体液・死臭など特殊なものが室内に残っているため、一般的なハウスクリーニングではなく「特殊清掃」です。個人では落とせない汚れ・においを、プロならではの方法で落とすことができます。業者選びのポイントなどをつかんで、事故物件の特殊清掃をすすめていきましょう。