遺品整理で失敗しない!上手に進める方法や専門業者の選び方のコツ

1.遺品整理でやりがちな失敗は?

遺品整理を始める前に、やってしまいがちな「よくある失敗」をご紹介しましょう。

1-1.貴重なものを処分してしまった

故人が大切にしていたものや貴重なものを、気が付かずにうっかり処分してしまった……というのは、よくある失敗談です。遺品整理を始めたばかりのころは、丁寧に仕分けをして作業を進めていても、だんだん面倒になり確認する作業も雑になってしまいます。バッグ・ポーチ・引き出しなど、中身を確認せず丸ごと捨ててしまうこともあるでしょう。

その中に「保険証書や土地の権利書など、重要な書類が入っていた」という失敗談をよく聞きます。面倒でも「中身」をきちんと確認してから捨てるようにしてください。

1-2.賃貸物件の退却日に間に合わない

故人が賃貸アパートやマンションなどで1人暮らしをしていた場合は、大家や管理会社に連絡をして、先方から告げられた日までに退去しなければなりません。遺品整理を済ませ、不要な家具や日用品は処分し、掃除をして原状回復する必要があります。電気・ガス・水道などの停止手続きも忘れずに行ってください。

やらなければならないことはたくさんあり、遺族が忙しい・遠距離に住んでいるなどの場合、すぐに対応するのは難しいものです。退去日までに間に合わないことも多いでしょう。そのため、契約者が亡くなった後も、大家や管理会社に了承を受け、片付くまで数か月はお金を払って借りている遺族も多いようです。

1-3.形見分けで親族ともめてしまった

形見分けで親族ともめたということも、よく聞く失敗談でしょう。「形見分け」とは、故人が愛用していた日用品や趣味のものなどを親族や親友などに分け与えることです。現金や金券などの価値が高いものは「財産分与」になります。形見分けは、故人をいつまでも思い出してもらうために行うもので、四十九日法要などのタイミングで行うのが一般的です。形見分けでよくあるトラブルとしては、以下のことが挙げられます。

1-3-1.誰が何をもらうかでもめた

着物やブランドものなど価値のあるものは、誰が何をもらうかでもめやすいものです。また、故人が集めていたアンティーク品など趣味の品物も、好きな人にとっては譲り受けたいと思うでしょう。そのため、親族間でけんかになることも多いのです。

1-3-2.勝手に行って親族ともめた

形見分けを行うことを親族に伝えず、適当に形見の品を送ったところ「なぜ勝手に行ったのだ」と文句をいわれたというケースは少なくありません。

1-3-3.急いで遺品をあげてしまい後悔した

形見分けを急ぐあまり、焦って遺品を親族に配った結果、後日「あの品物は思い出があったのにあげなければよかった」と後悔したという人もいます。

法的に手続きの期限が決まっている財産分与とは異なり、「形見分けは○○日までに行う」というルールはないので落ち着いて行いましょう。

1-4.相続問題に関するトラブル

高齢の親が亡くなった場合、一番多いのが相続に関するトラブルです。どのようなトラブルがあるのか、多い例を挙げてみましょう。

  • 兄弟姉妹間の遺産分割の割合について
  • 使途不明な消えた遺産がある
  • 親の介護をしたことを主張するなど、寄与分に関するトラブル
  • 遺言の内容が偏っていることに対する不満
  • 分けられない相続遺産に関するもの

上記のほかにも、数えきれないほどのトラブル例があります。相続に関するトラブルは年々増加しているそうです。法的なことが関わってくるので、素人だけで解決するのは難しく弁護士などの法律のプロに依頼するケースが多くなります。

1-5.遺品整理を業者に依頼したら悪徳業者だった

遺品整理業者の中には、残念ながら悪徳業者も存在します。被害にあった人も少なくありません。最近では、離れて暮らす高齢の親が亡くなった際、遺品整理の時間がない・遠方でなかなか行けないなどの理由で業者に依頼する人も急増しています。需要が多くなった分、悪徳業者も増えているのです。悪徳業者とのトラブル例で多いものとして以下が挙げられます。

1-5-1.業者が遺品を雑に扱った

故人の遺品を乱暴に扱われた、断りもなく廃棄されたなどのトラブルは少なくありません。また、故人宅にあった仏壇の処分を依頼し、「お焚(た)き上げ料」を別途支払ったのに、何もせずに廃棄されたなどの例もあります。故人や遺族への配慮がなく、遺品をただの粗大ゴミ扱いする業者もいるのです。

1-5-2.見積もりよりも高額の金額を請求された

遺品整理作業終了後、見積もりよりもはるかに高額の金額を請求されたというケースもあります。苦情をいうと「遺品の数が多すぎた」「作業が難航した」などあれこれと言い訳をするようです。

依頼するときには、事前に必ず見積もりを取り、追加料金が発生可能生や、その場合はいくらになるのか? などをきちんと確認してください。また、「遺品整理一式○○○○円」など、見積書に明細を書かない業者は、明細を出すように請求してみましょう。

2.遺品整理の失敗を防ぐためにできることは?

前項で挙げたような遺品整理の失敗を防ぐためには、どのようなことをすればいいのでしょうか。失敗例をベースにポイントを考えてみます。

2-1.遺品整理の失敗を防ぐ基本的なポイント

「遺品整理の失敗」を事前に防ぐポイントとしては以下のことが挙げられます。

  • 遺品整理に必要な時間を出す
  • 遺品整理に必要な費用を考える
  • 信頼のおける業者を選ぶ
  • 故人の意思を大切にする
  • 親族への連絡を忘れない
  • 相続問題はプロに依頼することも考える

それぞれ、どのようなことをすればいいのか、次の項からご説明します。

2-2.遺品整理にかかる「時間」がどれくらい必要かを考える

遺品整理に必要な時間は、故人や遺族の生活環境などによって異なります。たとえば、故人が高齢者だった場合の例を挙げてみましょう。

  1. 遠方の賃貸物件で1人暮らしをしていた
  2. 老人施設で暮らしていた
  3. 家で一緒に暮らしていた

1の場合は、大家や管理会社に連絡をしてから退去日までに片付けや掃除を済ませる必要があります。2の老人施設の場合も、次の入居者が控えているので、いつまでも遺品整理を延ばすわけにはいきません。同居の場合は、急ぐ必要ないでしょう。状況をふまえて、遺品整理をする時間がどれくらい必要なのか考えてください。
また、仕事が忙しい人などは時間のやりくりをするのが大変でしょう。自分がどれくらい遺品整理のために時間を費やせるのかも考え計画を立てることが大切です。

2-3.遺品整理を業者に依頼するか費用面も合わせて考える

遺品整理に時間を割けない場合は、専門の業者に依頼することも考えましょう。その場合、どれくらいの費用を工面できるか予算を出してください。遺品整理はいろいろとお金がかかります。故人の家に荷物や家具、不用品などが多い場合や、荷物の搬出がスムーズにできない場所にある場合(エレベーターがない古い団地の5階など)は、その分費用も高くなるでしょう。

故人と長年離れて暮らしていた場合は、できれば、「現場」を一度見に行って荷物の量や環境などを把握するほうがおすすめです。いざ業者に依頼してから「こんなにお金を払えない!」と慌てないようにしましょう。

2-4.遺品整理業者は慎重に選んで比較検討する

遺品整理業者に依頼するときには、業者選びを慎重に行ってください。「1-5.遺品整理を業者に依頼したら悪徳業者だった」でご紹介したように、中には悪徳業者もいるので要注意です。業者選びのポイントは、後の項で詳しくご紹介するのでぜひ参考にしてください。

2-5.故人の意思を尊重する

遺品整理で大切なことは、故人の意思をきちんと尊重することです。まずは、故人が遺言書やエンディングノートなどを残しているかどうか、確認しましょう。ある場合は、それに従って遺品整理を進めてください。

2-6.親族への連絡は忘れないこと

形見分けをするときは、親族にその旨を伝えておきましょう。遺品整理は、故人の子どもや配偶者など、一番近い関係の人が行うのが一般的です。けれども、自分たちだけで勝手に進めると後で文句をいわれることもあります。

もし、親族との関係が良好で仲がいい場合は、希望者を募り一緒に行うのもおすすめです。ただし、全員で行うと収拾が付かなくなりもめごとを引き起こします。自分勝手な人やわがままな人もいるので大人の常識人だけに候補を絞って進めたほうがいいでしょう。

また、疎遠にしている親族などに連絡をするのは抵抗があると思います。けれども、念のために遺品整理を行う旨だけは知らせておいたほうが無難です。

2-7.相続問題はプロに依頼することも考える

法律が関係する相続の問題は、プロに依頼することも考えましょう。もし、故人が家や土地などの不動産・高級車・保険・預貯金など資産を持っている場合は、相続の手続きをする必要があります。相続には「マイナスの相続」もあるので注意しなければなりません。故人の借金も相続の対象になるため、そのような場合は「相続放棄」の手続きをする必要もあります。

相続人が多い・相続の対象になるものが多く手続きがわからないなど、自分の手で行うことが大変な場合は、弁護士などのプロに依頼してください。