【解決】ごみ屋敷を片付けたい!粗大ごみや家電の廃棄処分と環境整備の必要性

1.ごみ屋敷問題とは?

メディアでもたびたび話題になるごみ屋敷。他人(たにん)事だと思っていませんか?意外と身近な問題で、疎遠になっていた実家がごみ屋敷になっていて驚いたというケースも増えてきています。なぜごみ屋敷になるのか、背景や原因となっていることを考えていきましょう。

1-1.深刻化するごみ屋敷問題

ごみ屋敷とは、家の中だけに留(とど)まらず、公道までごみがはみ出した状態を指します。ごみがあふれることで町の衛生状態も悪化し、火災や引火などの治安悪化も懸念されているのです。害虫・害獣・悪臭も引き起こし、人体にも悪影響があるため、社会問題として捉(とら)えられています。
ごみ屋敷の不気味さは独特で、ごみ屋敷の住人にも強い個性の持ち主がいることも特徴でしょう。住人が周囲からの非難や注意勧告を拒否し、近隣住民との溝が生まれることも問題となっているのです。

1-2.ごみ屋敷を引き起こす要因となっているのは? 

普通の人なら、決められたごみの日にルールに従って処分しています。しかし、ごみ屋敷に住む人の多くは高齢者で、心身ともに弱った状態の方であるのが問題です。自力で処理することができず、ごみ捨てを後回しにすることで蓄積してしまう、負の連鎖が起こっています。
高齢化社会になり、家族とも疎遠になっていることもあるでしょう。離れた地域で子どもたちが暮らし、なかなか実家へ足を運ばなくなったというのも、ごみ屋敷を引き起こす要因となっています。高齢ゆえ、認知症を発症しているケースもあるのです。

1-3.なぜごみ屋敷になってしまうのか? 

ごみ屋敷が出来上がるまでには、いくつかの過程があります。ごみが溜(た)まってしまう仕組みがわかっていても、性格の問題がかかわっているだけに、根深いものがあるのです。

1-3-1.ものが捨てられない

ごみ屋敷になる原因として最も注目すべきポイントは、ものが捨てられない性格であること。ものへの執着心があり、もったいないと抱え込んでしまうためです。最初は、わずかな量を抱え込んでいただけという方もいます。しかし、同じ過程を繰り返していくうちに、いつの間にか手が付けられない状態に変貌するというのも、決して珍しい事案ではありません。

1-3-2.拾ってきてしまう

認知症の方に多いのは、ものを拾ってきてしまう行為です。まだ使えるのに捨てるなんて……もったいない精神が働き、つい拾い集めてしまうのでしょう。
ものを抱え込むのがなぜいけないのか、ごみを溜(た)めることによる健康への悪影響がわからない、周囲へ迷惑をかけていることを理解できていない。認知症だと、善悪の判断基準があやふやになってしまうケースが多いのです。周囲から指摘されても、自分は良いことをしていると思うゆえ、反発することの方が多いのではないでしょうか? 

1-3-3.心に闇を抱えている

発達障害という言葉を聞いたことはありませんか?ADHD(注意欠陥多動性障害)・ADD(注意欠陥障害)などがあてはまります。心の病気ともいわれ、最近では大人も発症するリスクがあることがわかりました。
先天性の脳疾患である可能性も高いのですが、疲労やストレスの蓄積で発症することもあります。
片付けたいけれど、どうにもならないのは心の病気が関連している可能性があるのです。
心に病気を抱えているなら、周囲が手を差し伸べる必要があります。自分一人で何とかしようとせず、協力を得て片付けるようにしてください。また、ものを抱え込むことで安心感を抱くことができる心理が働いていることもあるでしょう。
解決には、心のケアも一緒に行っていくことが重要です。

1-4.ごみ屋敷から派生する問題は? 

ごみ屋敷が社会問題となっている理由は、やはり治安と衛生面の悪化です。

1-4-1.ごみ屋敷は精神疾患の引き金にもなる

自分で自分のことをできなくなる「セルフネグレクト」に陥り、自暴自棄になってしまう住人もいます。心身ともにバランスを崩し、体調不良を引き起こす恐れもあるでしょう。
気力低下を招き、やがて片付ける意欲を失います。ごみ屋敷問題をより深刻な精神疾患に変えてしまうのです。

1-4-2.火災や犯罪の温床にもなる

大量のごみからは、有毒ガスが発生します。何かの拍子に引火し、ごみ屋敷が全焼する火災もニュースで報道されており、近隣への被害が懸念されるのです。ごみが積み上がり、近隣住宅に死角ができてしまいます。空(あ)き巣に入られやすい環境を自然に生み出すため、注意しなければなりません。

2.ごみ屋敷への対応策

ごみ屋敷は増え続ける一方、現状では自治体によって対応が異なるのも問題になっています。ごみを自分の所有物と主張されるなら、勝手に処分するのも難しくなってしまうでしょう。どのような対応策があるのか、具体的にご紹介します。

2-1.東京都足立区が先駆けになって条例制定

ごみ屋敷とはいえ、むやみに立ち入ることは住居侵入罪に問われる恐れがあります。しかも、敷地内にあるごみを勝手に撤去することは、家主の許可を得ない限りできません。所有物にあたるためです。

東京都足立区が先駆けとなり、ごみ屋敷の条例が制定されました。ごみ屋敷の住人には、自己負担で片付けができない方もいます。費用がないため、粗大ごみ処分も行えず、どんどん増え続ける連鎖を断ちきることができないのです。足立区では、100万円を上限として撤去費用を支援する条例を定めました。全国初の試みとして注目されています。

行政代執行でごみの強制撤去した場合、杉並区・大田区・荒川区で家主に費用負担を求める条例が制定されました。条例制定に伴い、家主の氏名を公表して罰則を与えられるようになったのです。

2-2.法律ではどうなっているか? 

2014年に野党4党から法案が提出されたものの、まだ成立にはいたっていません。しかし、ごみが公道に侵入している場合、道路交通法や廃棄物処理法といった既存の法律に従い、処罰を与えることができます。残念なことですが、敷地内のごみには所有権があり、ごみではないと所有者が主張するなら、簡単に廃棄できないのも事実です。憲法でも、個人の財産権を主張できる記載があります。とはいえ、公共の福祉を脅かす恐れがあるごみには、一定の制約を受けるものとして扱われるのです。つまり、迷惑をかけ続け、周辺住民や環境を汚染するなら、法律で定められている財産権の主張はとおらないことになります。

2-3.周囲が協力できること

ごみ屋敷の原因となっているのは、周囲からの孤立です。子どもが独立して寄り付かず、近所付き合いもあまりないという場合、孤独からものを集めるようになってしまいます。

周囲ができることは、人と人が触れ合う環境を維持すること。孤立は孤独死も生み出します。認知症に気付く人がいるなら、早期に受診して介護サービスを受けることも可能です。

異変にいち早く気付ける、お互い助け合う関係を築くことが重視されます。地域で取り組み、ごみ屋敷を防止することを意識していきましょう。